2015-04-09から1日間の記事一覧

 遺伝子ノックアウトマウス

遺伝子ターゲッティングの技術を応用して標的遺伝子を改変するかわりに,部分的あるいは完全に削除してしまった欠損マウスを,遺伝子ノックアウトマウス(knockout mouse)と呼ぶ.対象とする遺伝子産物が本来持っているはずの機能を,遺伝子欠失によって…

発生工学の誕生とトランスジェニックマウス

近年,大きく発展してきた発生生物学と遺伝子工学が結びついた学間分野は発生工学と呼ばれる.発生工学発展の先駆けとなったのは, 1980年,米国のゴードン(J. Gordon)らが発表した外来の遺伝子が導入されたマウスを育てる技術の確立である.彼らは哺乳動物受…

 クローン動物

1個の卵子と回固の精子の合体による受精卵から発生する生物個体は,体中の細胞核の染色体の中にまったく同一のゲノムDNAを持つ.ヒトの場合は30 億塩基対からなるDNAをゲノムとして体中の細胞核にある染色体に納めてある.クローン動物とはこの膨大な…

胚操作とキメラ生物

高等動物の一生は卵子と精子が合体してできる受精卵から始まる.それが細胞分裂を数多く繰り返したのちに胚子(embryo)となり,それが発育・孵化して自立生活を始め,成長して新たな生殖を始める.こうして遺伝子を次世代へと次々に伝えてゆく.受精卵か…

 ブロッティング法

英国のサザン(E. M. Southern)は1975年,制限酵素により切断されたDNA断片をアガロース電気泳動で分離した後,ゲル内での分離パターンを保ったまま毛細管現象によってニトロセルロースフィルターへ移行させるサザンブロッティング法を開発した.フィルターに…

電気泳動法

核酸は負電気を帯びているため,適当な担体に保持して電圧をかけると分子量に比例した泳動度を示しながら陰極側から陽極側へと移動していく.寒天からつくられるアガロース(agarose)は化学的にほとんど不活性で毒性がなく電気泳動の徂体として扱いやすい材料…

 PCRの開く無限の可能性

米国のマリス(K.B.Mullice)らは1983年,遺伝子操作の可能性をいっそう高めたPCR (polymerase chain reaction)という革命的技術を開発した.この方法に従えば,欲しいDNA断片を簡単な操作で数時間の問に欲しいだけ大量に手に入れることができる. 遺伝子操…

 シャトルベクターの開発

DNA断片を制限酵素によって切ったり, DNAリガーゼを用いてベクターにつないだりする組換え体(recombinant) DNAを作製する遺伝子操作を微小な溶液中(0.1m/程度)で行ったのち,トランスフェクション(transfection)という手法によって大腸菌細胞内に導入す…

遺伝子操作技術の誕生

遺伝子操作技術の発想は1971年,米国スタンフォード大学医学部の大学院生であったロバン(P.Lobban)の提出した学生レポートに端を発する.それにはのちにATテール法と呼ばれるようになった以下のようなユニークなアイデアが盛り込まれており,その斬…

遺伝子操作技術を担う酵素群

遺伝子操作はDNAを望む位置で切断したり,接続したりすることのできる酵素の発見により可能となった.つまり,もともと自然界ですでに行われていた細胞内での酵素反応を,試験管内で人為的に利用できるようにすることで誕生した技術である.その後, DNAや…

精子や卵子などの生殖細胞ができるときは,染色体の数が半減しなくてはならないためM期が2回連続して起こる減数分裂(meiosis)と呼ばれる特殊な細胞分裂を行う.減数分裂のもう1つの特徴はDNAが複製される直前に姉妹染色分体交換(sister chromatid exch…