精子卵子などの生殖細胞ができるときは,染色体の数が半減しなくてはならないためM期が2回連続して起こる減数分裂(meiosis)と呼ばれる特殊な細胞分裂を行う.減数分裂のもう1つの特徴はDNAが複製される直前に姉妹染色分体交換(sister chromatid exchange)と呼ばれる現象によって父親由来の染色体の一部と母親由来の染色体の一部が交差(cross)し,組換え(recombination)を起こして部分的に交換されることである.組換えの起こるサイトは多数存在するため染色体交換の組み合わせ数は膨大な数になる.ヒトの場合,平均33ヵ所で組換えを起こし,両親由来の染色体を相互に入れ換えてまだらに組換

わった染色体の一方を精子卵子に引き継がせ子孫に伝えているのである.このため精子卵子細胞の1つ1つが異なった遺伝子のセット(ゲノム)を持つことになり,2卵性双生児でも顔だちや性格が微妙に異なるのである.生物が性(sex)という仕組みを進化させ,成功した理由はこの組換えによって子孫の遺伝子に多様性を与えたことによる.この仕組みのおかげで地球上には多種多様な生物が棲息するようになり,環境の激変があっても多様な生物のいずれかが環境変化に適応して生き延びることができるのである.