がんの第一原因は喫煙

 

がん原因の30%はタバコが占めている

がんによる死者数が毎年増えつづけている。 1935年のがん死亡者数は5万80人であったが、1965年には10万6536人、2000年には30万人になった。

 がんによる死者数が、わが国でこれほど増えている理由は、環境の悪化ではなく、日本人が長寿になったからである。

 がんは、細胞の成長・増殖をコントロールするブレーキとアクセルに相当する2つの遺イ云子が故障したときに発生する。DNAの複製の間違い、食物や薬物、毒物、ウイルス感染などによってDNAは絶えずダメージを受けている。DNAダメージを修復するしくみが機能していても、修復にもやはり限度というものがある。

 長生きによって、ブレーキとアクセルの遺伝子に変異が少しずつ蓄積するから、誰であれ長生きすれば、いずれ、がんが発生するはずなのだ。固んの皷大の危険因子はタバコである。日本人26万人を対象とした研究

  が1965年から国立がんセンター研究所部長の平山雄らを中心に実行され、喫煙による肺がん死亡リスクが、男性で4.5倍、女IIまで2.3倍も高くなることが確認された。

 しかも2002年、国際がん研究機関(IABC)は、タバコを吸うことで、肺がんだけでなく、すべてのがんが増えることを発表した。

 また、国立がんセンター予防研究部長の津金昌一郎は、もしタバコという嗜好品がわが国になかったとすると、毎年、9万人のがん発生を防げると報告している。

 タバコががんを発生させるしくみはこうだ。タバコの主流煙(喫煙者の吸う煙)には約4000種類の物質が含まれているが、そのうち約60種類が発がん物質である。とりわけ強力な発がん物質は、ベンゼン環が5個連なったベンツピレン、ベンゼン環にアミノ基がついた芳香族アミン、ニトロソ化合物などだ。これらは煙とともに体内に入り、肝臓で代謝されてから、細胞内のDNAと化学反応を起こす。これがDNAダメージである。タバコは、直接煙が通る臓器以外のがんの原因にもなることがわかる。

 自分はタバコを吸わないから大丈夫なのか。非喫煙者だって安心はできない。火のついたタバコの先から出る副流煙には発がん物質が主流煙以上に含まれているからである。

 タバコを吸わない女性でも、もし夫が1日1箱以上タバコを吸っていると、妻の肺がん死亡率リスクは2倍に跳ね上がることが確認されている。受動喫煙による被害もかなり深刻なことがわかる。がんの原因の30%をタバコが占めていることから、喫煙をやめることが、

  がんの発生を防ぐ最も有効な対策である。がんはかなりの程度、予防できる病気なのである。

2002年に国際がん研究機関(IARC)は、タバコを吸うことで、肺がんだけでなく、すべてのがんが増えるという報告を出した