直接クライアントから受注すれば3倍の報酬を得られる

 

 

翻訳者は基本的に翻訳会社に過剰依存しており、ProzやTranslation Café Gotranslators、Translation Directory、TranslationPub、Traduguideなどからの新案件を未だに待ち続けています。現代の翻訳者はクライアントに直接連絡するための努力をしていません。仮に始めるとしても、どこでどのように始めればいいのかを知らないのです。そのため、翻訳者は高単価の大きなビジネスチャンスを見逃しています。多くの翻訳者はソースクライアントを得る方法を教えてもらったことがないか、または翻訳会社からそれを行うなと忠告されていたりします。他の新興国のインド人でさえもクライアントから直接受注しているのに・・・。翻訳会社ではなく、クライアントの会社と直接取引すれば、同じ仕事でも高い報酬を得ることができます。また、クライアントにとっても安い料金で同じサービスを受けられることから、両者にメリットがあります。翻訳会社の請求額よりも低い料金で、報酬を上げることができます。

 

しかし、最初のうちはクライアントがいないことから、翻訳会社を必要とします。それと同時に、エンドクライアントへのアプローチを模索し続けましょう。効率的な方法でない場合もありますが、必ず続けてください。

 

もちろん、十分な貯蓄があれば、翻訳会社との取引を中断することも可能です。

 

私も当時は翻訳会社に過剰に依存し、次の特急案件はいつかと慌ただしく待っていました。今でもそのようなメールが毎日送られてきますが、その単価はあいかわらず低いどころか、下がり続けているので、無視しています。5年前はまだ妥当な報酬額であることが多かったですが、今ではその50%程度にまで下がっています。翻訳会社がクライアントに提示する価格は2割ほど安くなっているだけですがね。

 遺伝子ノックアウトマウス

 遺伝子ターゲッティングの技術を応用して標的遺伝子を改変するかわりに,部分的あるいは完全に削除してしまった欠損マウスを,遺伝子ノックアウトマウス(knockout mouse)と呼ぶ.対象とする遺伝子産物が本来持っているはずの機能を,遺伝子欠失によって生じる表現型の変化を観察することで解析できる技術である.

 

 遺伝子ノックアウトマウス作製のプロセスは以下のように要約できる.0まず欠失させたいマウスの標的遺伝子を単離して構造を決定し,この標的遺伝子の一部分をマーカー遺伝子(ネオマイシンで置換して右足遺伝子破壊).@この置換遺伝子を含むDNAをES細胞に導入し,マーカーを指標にして相同組換えを起こした細胞を用いた場合はG 418 という薬剤に抵抗性となった細胞)のコロニーを選別する.@選別された置換標的遺伝子を持つES細胞胚盤胞に注入してキメラ胚を作製する.0キメラ胚を仮親の子宮に移植して生育させキメラマウスを産ませる.@生まれてきたキメラマウスが置換(破壊)された標的遺伝子を持つか否かを尻尾を一部切り取って調整したDNAを材料にしたPCR法によって決定する.子マウスのいくつかは破壊された遺伝子を片方の染色体に持つヘテロ接合体(十/-)である.@これらヘテロ接合体であるマウス同士を交配すると破壊された遺伝子を両方の染色体上に持つホモ接合体(-/-)が得られる.

 

 標的遺伝子が発生に必須な遺伝子であれば,その破壊は発生異常を引き起こすのでホモ接合体は原理的には生まれてこない.そのさいは発生途中で死んだ胚を子宮から取りだし,どの時点で異常を生じて死んだかを解析する.もしマウスかおる程度まで無事に生育すれば,そこから培養細胞系を樹立することで標的遺伝子が破壊されか細胞か実験に使えるようになる.

 

発生工学の誕生とトランスジェニックマウス

 近年,大きく発展してきた発生生物学と遺伝子工学が結びついた学間分野は発生工学と呼ばれる.発生工学発展の先駆けとなったのは, 1980年,米国のゴードン(J. Gordon)らが発表した外来の遺伝子が導入されたマウスを育てる技術の確立である.彼らは哺乳動物受精卵の次のような特徴をうまく利用した.すなわち,受精してしばらくの間は受精卵の中に卵子由来の核(雌性前核)と進入した精子由来の核(雄性前核)が離れて存在するのである.しばらくすると両方の核は融合して1つの核となり,あとは通常どおり,それぞれの染色体が2倍に複製されて次々と細胞分裂を繰り返しながら子宮のなかで胎児へと発生してゆく.ゴードンらの開発した技術を要約すると以下のようになる.0まず受精卵を核が融合する前の時期にマウスにホルモン注射をして強制的に排卵させる.@次に,受精卵を1つ選んで顕微鏡下で操作してウイルスのDNAを前核に注入する.彼らの発表が大きな衝撃を与えたのはその注入操作技術が革新的であったからである.すなわち,受精卵を吸引によって固定したうえで, DNA溶液を含む極微のガラス針の先端部を受精卵に突き刺して内部のDNA溶液を雄性前核に微量注入したのである.直径が約80μm(1μmは千分の1 mm)という小さな受精卵の核(約10μm)に正確にガラス針を突き剌すためにミクロン単位で先端を自在に動かせるマイクロマニピュレーターという道具を特別に作製した.@つづいて,こうした操作を施しか受精卵を偽妊娠状態にした雌マウスの卵管内に移植する.この雌マウスを通常どおり飼育しつづけると,胎児は順調に子宮内で生育して,外見は普通の子マウスが数匹産まれてきた.さっそくこれら子マウスの尻尾を少々切り取ってゲノムDNAを抽出して調べてみると,注入しかウイルスの遺伝子を染色体DNAに組み込んだ個体がみつかったのである.また,このマウスは生殖細胞にもウイルスDNAを組み込んでいた.そこでこれらのマウスを成長させて普通どおりに受精させると,その子孫にも代々ウイルスDNAがひきつがれてゆくことが確認された.つまり注入されたDNA力1染色体DNA中に安定に組み込まれることによって人為的に新たな遺伝子を導入されたマウスの系統が樹立できたのである.

 

 その後,組み込まれるDNAはウイルスの他のなんでもよいことが明らかとなった.こうしてできたマウスはトランスジェニックマウス(transgenic mouse)と呼ばれる.さらにマウス以外の生物でも類似の操作が可能であることもわかり,これまでに数多くの種類のトランスジェニック生物が作製されてきた.この技術開発により交配に頼らずとも自在に新たな系統が樹立できるという点で動物実験全般に革命を起こすとともに,遺伝子操作技術の応用面にも新たな展開をもたらした.これまで大腸菌や哺乳動物細胞に限られてきた遺伝子操作の適用対象が哺乳動物個体にまで一挙に広がったからである.

 

 開発当初は革命的だったトランスジェニックマウス作製技術も,しばらくするとその作製効率の悪さが障害になってきた.そこでもっと手の込んだ遺伝子ターゲッティング(gene targeting)と呼ばれる効率のよい技術が開発されてきた.そのきっかけとなったのは1981年,英国のエバンス(M亅. Evans)とカウフマン(M. H. Kaufman)による全能性を持つマウスの胚性幹細胞株(ES : embryonicstem cell line)を樹立したという画期的な報告である.彼らはマウスを交配してから4日後に卵巣を除去し,受精した胚が子宮に着床するのを遅らせて中に空洞ができた着床前の胚(胚盤胞)を回収した.胚盤胞の内部には内部細胞塊(ICM:inner cell mass)と呼ばれるあらゆる細胞に分化できるという全能性(totipotency)を有した未分化細胞がある.彼らは内部細胞塊を顕微鏡下で分離して採集し,特殊な培養液で培養することでES細胞株を樹立することに成功したのである.ES細胞は正常細胞でありながら不死性(immortality)を獲得しており,シャーレの中で培養すればいつまでも分裂を続けることができる.しかも分化の全能性を持つため,特定の培養下で脳や筋肉などの特殊に分化した細胞へ分化誘導できる.また,同系統のマウスの腹腔内や皮下に移植すると多種類の組織が混在する奇形腫(teratoma)をつくることも可能である.

 

 ES細胞の持つ特記すべきメリットは,シャーレの中で自在に外来遺伝子を導入したうえで仮親マウスの胚盤胞に注入すると,ES細胞と内部細胞塊とが混ざり合った状態で発生し,仮親由来の細胞とES細胞由来の細胞が混在するキメラマウスが生まれてくることにある.たとえば白毛の母親マウスの胚盤胞に黒毛のマウス由来のES細胞を注入すると,毛色が白黒混ざったぶぢのマウスが生まれてくる.さらにキメラマウスの交配を繰り返して何世代も選択を続けると個体のすべての細胞がES細胞由来となったマウスの系統を樹立することもできる.つまり望む遺伝形質を持ったマウス個体を自由に作製できるという,神のみに許されていた技術を人類はとうとう手に入れてしまったのである.

 クローン動物

 1個の卵子と回固の精子の合体による受精卵から発生する生物個体は,体中の細胞核の染色体の中にまったく同一のゲノムDNAを持つ.ヒトの場合は30 億塩基対からなるDNAをゲノムとして体中の細胞核にある染色体に納めてある.クローン動物とはこの膨大な塩基配列がまったく同一な個体のことをさす.一卵性双生児は自然界で発生するまれなクローン個体で,1個の受精卵が発生の途中で偶発的に2個に分かれてしまい,それぞれが独立に生育して生まれたものである.しかし,人為的にクローン動物をつくることは従来とても困難であった.

 

 1970年,イギリスのがードン(J. B. Gurdon)らは両生類のデブリカツメガエルを用いて多数のクローンガエルをつくることに成功した.彼らはオタマジャクシの肺・腎臓・小腸など生殖器以外の器官の細胞から核を取り出し,核を抜き取った未受精卵に注入したところ,核移植された卵はそのまま正常に発生・生育してカエルにまで成長したのである(図4・2).この実験は同時にこれまで漠然と予想されていたにすぎなかった,“体中の細胞核にはまったく同一のゲノムDNAが存在する”という仮説が実証されたことをも意味していた.この技術を応用すればクローンガエルはいくらでも作製できる.クローン動物は遺伝的条件がまったく同一なため,厳密な遺伝学を進展させるための実験動物として最適である.とくに遺伝性要因と環境要因が複雑に絡み合った成人病の研究において遺伝性要因がまったく同一な剣験動物を用いることは環境要因の影響をより正確に分析できるという点において有用である.

 

 哺乳動物では胚操作によってクローン動物をつくる試みがなされてきた.その技術では,まず受精卵が1回だけ分裂(卵割)して2つの細胞に分かれたときに,すかさず卵管から受精卵を採取し,シャーレの培養液中に移す.次にプロナーゼという酵素を用いて外側の透明帯を溶かし,顕微鏡下で毛細ガラス管の中に胚を吸い入れたり,吐き出したりして,割球と呼ばれるそれぞれの細胞を物理的にバラバラに分離する.これら分離した割球を2つの独立した卵子としてシャーレの中の培養液中で培養すると,そのまま独自に発生を続け,正常のものより一回り小さいが機能は正常な胚盤胞にまで成長する.これらを別々の仮親となる雌ウシに移植して,仮親の胎内で生育をさせると正常どおりに出産し,2匹のクローン動物が生まれる.2細胞期以降の胚細胞においてもこの技術の応用が可能であれば仮親の数だけクローン動物が生まれることになる.実際,ウシでは32細胞期まで進んだところでさえ同様の操作が可能であることが示されている.ただし32個の細胞は小さすがで細胞質の量が不足するので,この種の実験ではあらかじめ除核しておいた末受精卵にこれら細胞から取り出した核を別々に導入した.これを16頭のホルシュタイン種の子宮に1個ずつ移植したところ順調に生育して8頭のクローンウシが生まれたのである(1987年).

 

 1997年,英国のロスワン研究所のウイルムット(I. Wilmut)らはカエルの場合と同様な方法でクローンヒツジを誕生させることに成功した.彼らは成長したビッグの乳腺から採取した細胞より細胞核を取り出し,ほかのヒップの未受精卵に移植した.化学的な処理を施して発生を刺激したのち代理母の子宮に移して生育させたところ,もとのヒップとまったくj司じ遺伝子を持った一匹の子ヒツジが誕生した.この成功により,60兆個もある体細胞から最大で60兆匹のクローン家畜を生み出すことが原理的に可能となった.問題なのは同じ手法を用いればクローン人間をつくることも技術的に可能となったことである.ドイツでは多くのヒトがこのニュースを聞いてヒトラーの唱えていた優秀な民族からなる世界観"を連想したという.この技術は放っておくと倫理的・政治的に非常に危険な技術となる可能性かおるため,研究の進んでいる米国や英国ではこの技術をヒトの受精卵に応用することを禁じる法律制定の検討を始めている.

胚操作とキメラ生物

 高等動物の一生は卵子精子が合体してできる受精卵から始まる.それが細胞分裂を数多く繰り返したのちに胚子(embryo)となり,それが発育・孵化して自立生活を始め,成長して新たな生殖を始める.こうして遺伝子を次世代へと次々に伝えてゆく.受精卵から始まって動物個体が発生してくるまでの過程を研究する学問分野を発生生物学と呼び,そのうちとくに生殖現象を扱う分野を生殖生物学と呼ぶ.近年発展してきたこれらの学間分野においては胚操作技術が大きな役割を果たしてきた.

 

 1950年代にはすでにマウスの卵管から採取した初期胚を培養することで着床前の胚にまで発生させる技術は確立していた. 1961年,ポーランドタルコフスキー(A. K. Tarkowski)は2つの異なる胚をくっつけたまま発生させるという画期的な技術の開発に成功した.彼は,まず遺伝的に黒毛のマウスと白毛のマウスの卵管から,それぞれ受精後3日たって3回ほど分裂をすませた8細胞期の胚を採取した.次に顕微鏡下で胚の外側の透明帯を切り裂き,取り出した両方の胚を極細のガラス針を使ってくっつけた.これを培養液につけたまま培養器内で数時間培養すると両方の胚は仲良くしっかりとくっついたまま2倍の大きさの1個の胚として成長した.この集合胚を仮親マウスの子宮に移植し,生育させると毛色が白黒混ざっとぶぢのマウスが生まれてきたのである.これが世界で最初のキメラマウス(chimera mouse)誕生の瞬間であった.キメラという名袮はギリシヤ神話に出てくる架空の怪獣の名前に由来する.キメラは,頭はライオン,胴体はヤギ,尾は大蛇からなる火を吐く合体動物である.1962年にはイギリスのミンツ(B. Mintz)らによってプロナーゼという酵素を用いれば胚の透明帯が簡単に溶けること,またフィトヘマグルチニン(赤血球凝集因子)を培養液に加えると高い効率で胚がくっつくことが見いだされ,胚操作の発展が加速された.

 

 1984年になると,英国のウイラドセン(S. M. Willadsen)らによるヒッジとヤギの異種間キメラであるキープ(geep)が作製され,ギリシア神話の現実化として世界的に大きな衝撃を与えた.髭や全身の骨格はヤギに似ており,角や体毛はヒップの特徴を備えた奇妙な合体動物であるキープという名称はヤギの英語(コート; goat)とヒツジの英語(ジープ; sheep)との合成語である.ただしヤギとヒツジとは染色体数が異なるなどの理由で,キープは一代かぎりの動物で,交配によって子孫をつくることはできない.

 

 ブロッティング法

 英国のサザン(E. M. Southern)は1975年,制限酵素により切断されたDNA断片をアガロース電気泳動で分離した後,ゲル内での分離パターンを保ったまま毛細管現象によってニトロセルロースフィルターへ移行させるサザンブロッティング法を開発した.フィルターに移行したDNA断片と放射性同位体によって標識されたDNA(RNA)またはオリゴヌクレオチド(これをプローブ[probe]と呼ぶ)を混ぜて保温すると,相補的な塩基配列を持つDNA断片のみとプローブが結合したハイブリッド(hybrid)を形成する.このフィルターをX線フィルムに露光したのち現像するとプローブと同一(あるいは類似)の塩基配列を持つDNA断片がバンドとして検出できる.

 

 RNAも同様にアガロースゲル電気泳動法によって分子量に比例して泳動される.ブロッティングにさいしてはRNAに対して効率よく吸着するナイロン膜が使われる.この技法はSouthernの逆という意味でノーザン(Northem)法という名称で呼ばれる.一方,タンパク質は毛細管現象によっては移行しないので主として電気的に移行させる標的タンパク質を含む抽出液をポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離し,分離パターンを保ったままニトロセルロースフィルターに移行させる.移行後はフィルターをビオチンなどによって標識された抗体をプローブとして混在させ,抗体と結合するタンパク質のバンドのみを検出する.この技法はSouthern, Northernと続いた方角を示す命名法に従ってウェスタン(Western)法と呼ばれている.さらに,ウェスタン法におけるプローブとしてDNA断片やオリゴメクレオチドを用い,それらの塩基配列に特異的に結合するタンパク質を検出する場合はサウスウェスクン(South-western)法と呼ばれる.また,標的タンパク質と複合体を形成しうるタンパク質をプローブとして最初に用い,つづいてその抗体によってそれらの結合を検出する方法はウェストウェスタン(West western)法と呼ばれる.ちなみにイースタン法という名称のついた技法はまだ開発されていない.将来,もし同様なブロッティング法がたとえば糖脂質などについて行われるようになればイースタン法と呼ぶことも可能かもしれない.

電気泳動法

 核酸は負電気を帯びているため,適当な担体に保持して電圧をかけると分子量に比例した泳動度を示しながら陰極側から陽極側へと移動していく.寒天からつくられるアガロース(agarose)は化学的にほとんど不活性で毒性がなく電気泳動の徂体として扱いやすい材料である.短時間の泳動度で数十から数万塩基対にも及ぶDNA断片を効率よく分離できるため,遺伝子操作技術が始まった当初から高分子量核酸の分画,解析に頻用されてきた.ゲル緩衝液を加えたアガロースを熱融解し,型に流し込んでから室温で放置して固めるだけで簡単にアガロースゲル担体を作製できる.ゲルの一方にはローム(櫛)を乗せて置いてサンプルを入れるための溝をこしらえておく.これを緩衝液で満たした電気泳動槽に沈ませてサブマリン状態で泳動する.泳動用のバッファーは普通中性だが単鎖DNAのまま解析したいときはゲル緩衝液ごとアルカリにしたアルカリアガロースゲルをつくってアルカリバッファー中で電気泳動する.試料にはあらかじめ混合色素(ブロモフェノールブルー)を加えておき,アガロースゲル中で70%移動するまで泳動しかころに泳動をとめる.ゲルを取り出し,1μg/m Iの臭化エチジウム液に約10分間浸けてDNAのみを染色し,紫外線照射器の下でポラロイドカメラで撮影すればDNAがバンドとして記録される.

 

 数十塩基対以下の小さいDNA断片やタンパク質に対してはポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE : polyacrylamide gel electrophoresis)が用いられる.アクリルアミドはアクリロニトリル(acrylonitrile ; CH2二CHCN)を硫酸または塩酸で加水分解して得られたビニル化合物(白色薄片状の結晶)で,粉末・水溶液とも催涙性皮膚剌激性を有する神経比毒物で皮膚からも体内に吸収されるので取り扱いには注意が必要である.ポリアクリルアミドゲルの作製にあたってはアクリルアミドと架橋剤との混合物の水溶液を適当な重合促進剤の存在下で共重合させ,ガラス板で挟んだ1~2mm幅の隙間に流し込んで固まらせる.これを縦型の泳動槽にセットして中性の泳動用緩衝液の中で泳動する.